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【コラム】企業価値を社会価値へつなげる

 

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を最近いろいろなところで目にします。
SDGsのバッジを胸につけいる方ともお会いしますが、正直冷めた目で見ることが多いです。

バッジをつけている方に理由を聞くと、こんな答えが返ってくるからです。

「いや~、SDGsってあんまり意味が分からないですよね。でも、会社の方針で・・・」
「今は環境問題とかグレタさんの活動が注目されているじゃないですかぁ~。まぁ、ブームに乗っかろうって感じです。」

もちろん、こういう方ばかりではありません。

世界的な気候変動や環境問題、社会問題に対して、他人事ではいられなくなったという緊迫感が社会・企業・個人レベルで上がっているとも言えます。

日本でも東日本大震災後に、社会問題や環境問題への貢献・配慮に対する意識が大きく変わってきたように思えます。エシカル消費、断捨離、ミニマリスト・・・ 挙げれば切りがありません。

大切なことは、そういう言葉に踊らされるのではなく、そういう言葉が使われている背景・文脈を俯瞰してみて、本当に必要なことは何かを見極めることです。目的と手段を混同しないか、冷静に見る力が問われているのではないでしょうか?

今の世の中を生きる私たちは、行き過ぎた資本主義と保護主義の限界を薄々と感じていると思います。その中で、「経済性」と「社会性」の両立を目指す動きには共感していますが、企業のみならず、多くの人が、現代における社会的な価値とは何かを特定することはできていないのではないでしょうか?


先週、任意団体コオフクが主催する「みなとコオフク塾」の成果を発表する「わたしとコートと□展」を見に行ってきました

「みなとコオフク塾」とは、多様な人々が集い、既製服や服を着ることを通して、障がいがある人が抱えるおしゃれの悩み・課題を理解し、リデザインし、カタチにし、成果発表までを行うプログラムです。

障害者の方が本当に着やすい、着てみたい服のファッションショーを見たのですが、既存のコートをリデザインして、ファッション性と機能性を持つ服に生まれ変わっていました。

車いすに座っていると、服に対していろいろな改善の声が上がります。

「背中や腕の可動域が狭い。」
「背面が蒸れてくるので通気性も欲しい。」
「そもそも着るのも脱ぐのも面倒なんでコートを着るという選択肢もない。」

という具合です。

新しくリデザインされたコートの一つは、側面と背部に見えないファスナーをつけて、着脱性と可動域を向上させていました。
車いすに座って邪魔になった背面部は折り曲げて着心地をよくしたり、さらにはフードにもできるというアイデアは画期的でした。ちょっとした雨や風も防げます。

特定のマジョリティーにたくさん売れる商品をつくるというのは、お客も作り手も幸福ではありません。安くて1シーズンで捨ててしまうような服なら、機械が作ればいいのですから。

生産者と消費者という言葉が数年後にはなくなっているのかもしれません。むしろ、なくなってほしいと思います。

 

コオフクの代表の西村さんは、

「自然と、誰もが社会の一員として多様性を受け入れる精神的な素地がつくられることを願っています。「不完全」を「完全」にするアクションの中で、自分の中の「不完全さ」への問いかけになれたらと思います。そして、「障がい者の中の健常者」と「健常者の中の障がい者」が理解できるきっかけになれたら、と思っています。」

とおっしゃっていました。

 


企業と社会をつなぎ、共に成長・発展するためには、何が必要なのでしょうか?


その解は、各社が知恵を絞って考えるべきことですが、国や権力者が考えたルールに盲目的に乗っかるだけでは、本当の意味での持続的な成長にはつながりません。

最近では、CSV(共通価値の創造)の考え方も参考になると思います。
企業は社会の中で自己完結できる存在ではなく、会社と社会が距離を縮め、互いに支えあい、発展していくというもので、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授は、

1. 社会課題を解決する新製品・サービスの創出
2. バリューチェーンの再定義による生産性の底上げ
3. 経営資源の集積と共生による地域発展

という3つの方向性を示唆しています。


かつて企業は、CSR(企業の社会的責任)というものに夢中になっていました。寄付や社会貢献を通じて自社のイメージを向上しようという、形式的な守りのイメージです。一方で、CSVは、資本主義の原理に基づいてビジネスとして社会問題を解決する、という攻めのイメージです。一見、矛盾しているように思える二項対立の価値観も、全く新しい考え方と理由付けがあれば、ガラっと世界を変えることもできる、と信じています。

企業価値と社会価値は両立できると信じてみて、何をしていきますか?


企業は、売上からコストを差し引いた利益を社会に還元する役目があります。

多くの企業はコストと言えば、原材料費、人件費、広告宣伝費といった目に見えるものだけを考えます。そして、そのコストを小さくすることばかり考えます。

しかし、企業活動を大きな視点で見れば、公害や環境破壊などの損失を社会全体が負担している部分もあります。その社会的コストを税金だけで負担するには限界があります。経済主体には計上されない、目に見えないコストを一企業がどれだけ考慮するかが、全体最適の視点で問われているのだと思います。

そして、本当に使命感を持っている企業は、必要なコストにはお金をかけます。コストを売上を増やすための投資と考えているのです。そうして生まれた利益を、社会課題を解決するのに本当に必要なところへ還元しているのです。

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