5月9日(水)のNHK「クローズアップ現代」で、『ペットボトルごみがついに限界!? ~世界に広がる“中国ショック”~』という番組を放映していました。
これまで、日本を含め多くの国が中国へペットボトルなどの廃プラスチックを輸出してきました。資源不足に悩む中国も、海外から資源ごみを輸入し、リサイクルする方法を選んでいたのです。特に先進国が消費した膨大な廃プラスチックは、石油原料よりはるかに安い、貴重な資源でしたので、中国の輸入量は、年々増加しました。
2000年代に入ってからは、200万トンを突破し、ついに、世界の廃プラスチックの6割を輸入するまでになりました。
しかし、廃プラスチックの処分には手作業による選別が必要となり、人件費の安い農民が、丁寧に仕分け、汚れを洗い落としています。その時に出る汚泥や、洗浄に使う薬品の多くが、川などにそのまま流され、深刻な環境汚染を引き起こしました。
また、経済発展が著しい中国では、国内のプラスチックごみが増え続けたことで、海外からの資源ごみの輸入規制を打ち出したのです。
ペットボトルを含め、多くのプラスチックごみが行き場を失い、アメリカでは、3分の1以上の州に影響が出ていて、処理しきれない廃棄物があふれている所もあると訴えています。日本でも、今まで中国への輸出に頼ってきた業者が悲鳴を上げている状況です。
日本では、国民1人あたり年間約300枚のレジ袋が使われています。日本全体では約305億枚で、そのほとんどがごみになります。家庭から出るプラスチックごみの約15%がレジ袋だと知っていましたか?
EUに加盟するすべての国が,2025年まで使い捨てレジ袋の使用を1人あたり年間40枚までに削減すると決めています(The Epoch Times Aug 31 2016)。そして、EUに加盟する28カ国は,廃止令や追加料金を徴収するなどの手を打ってレジ袋を減らす取り組みを始めています。
アメリカやその他の国でも、レジ袋やプラスチック容器の使用を規制したり、禁止したりする動きがあります。
プラスチックごみの弊害として、目に見えない小さなプラスチックの破片や粒(マイクロプラスチック)が海に流出し、プラスチックを食べてしまって内臓がつまり、死んでしまったクジラや鳥も発見されています。
人類がこれまでにつくり出したプラスチックは83億トン。これはシロナガスクジラ8000万頭分の重さと同じだそうです。そのうち約8割がごみになっていて、アメリカの大学の研究ではこのままいくと2050年にはプラスチックごみが現在の約2倍の120億トンに増えるそうです。
普段何気に飲んでいるペットボトル飲料ですが、将来は紙容器やアルミ缶の飲料が増えるかもしれません。もちろん、マイバッグやマイボトルを持って買い物をするなど、一人一人が使用する本数を減らしていくことも考えていかなければいけませんね。
※出典:鈴木有子(2018)「リサイクルと環境のねだん」大月書店.